Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme
わたしは倉地とは離れてはいられない人間だと確かに信じていた。そしてわたしの持ってるすべてを……醜いもののすべてをも倉地に与えて悲しいとも思わなかったのだ。わたしは自分の命を倉地の胸にたたきつけた。それだのに今は何が残っている……何が残っている……。今夜かぎりわたしは倉地に見放されるのだ。この部屋を出て行ってしまった時の冷淡な倉地の顔!……わたしは行こう。これから行って倉地にわびよう、奴隷のように畳に頭をこすり付けてわびよう……そうだ。……しかし倉地が冷刻な顔をしてわたしの心を見も返らなかったら……わたしは生きてる間にそんな倉地の顔を見る勇気はない。……木部にわびようか……木部は居所さえ知らそうとはしないのだもの……」
葉子はやせた肩を痛ましく震わして、倉地から絶縁されてしまったもののように、さびしく哀しく涙の枯れるかと思うまで泣くのだった。静まりきった夜の空気の中に、時々鼻をかみながらすすり上げすすり上げ泣き伏す痛ましい声だけが聞こえた。葉子は自分の声につまされてなおさら悲哀から悲哀のどん底に沈んで行った。
ややしばらくしてから葉子は決心するように、手近にあった硯箱と料紙とを引き寄せた。