Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme

Aozora Bunko

「めんどうだな、このままでできようが」

葉子はもう一度試みた。しかし思うようには行かなかった。倉地はもう明らかにいらいらし出していた。

「だめか」

「まあちょっと」

「出せ、貸せおれに。なんでもない事だに」

そういってくるりと振り返ってちょっと葉子をにらみつけながら、ひったくるようにボタンを受け取った。そしてまた葉子に後ろを向けて自分でそれをはめようとかかった。しかしなかなかうまく行かなかった。見る見る倉地の手ははげしく震え出した。

「おい、手伝ってくれてもよかろうが」

葉子があわてて手を出すとはずみにボタンは畳の上に落ちてしまった。葉子がそれを拾おうとする間もなく、頭の上から倉地の声が雷のように鳴り響いた。

「ばか! 邪魔をしろといいやせんぞ」

葉子はそれでもどこまでも優しく出ようとした。

「御免くださいね、わたしお邪魔なんぞ……」

「邪魔よ。これで邪魔でなくてなんだ……えゝ、そこじゃありゃせんよ。そこに見えとるじゃないか」

倉地は口をとがらして顎を突き出しながら、どしんと足をあげて畳を踏み鳴らした。

葉子はそれでも我慢した。そしてボタンを拾って立ち上がると倉地はもうワイシャツを脱ぎ捨てている所だった。