Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme

Aozora Bunko

「胸くその悪い……おい日本服を出せ」

「襦袢の襟がかけずにありますから……洋服で我慢してくださいましね」

葉子は自分が持っていると思うほどの媚びをある限り目に集めて嘆願するようにこういった。

「お前には頼まんまでよ……愛ちゃん」

倉地は大きな声で愛子を呼びながら階下のほうに耳を澄ました。葉子はそれでも根かぎり我慢しようとした。階子段をしとやかにのぼって愛子がいつものように柔順に部屋にはいって来た。倉地は急に相好をくずしてにこやかになっていた。

「愛ちゃん頼む、シャツにそのボタンをつけておくれ」

愛子は何事の起こったかを露知らぬような顔をして、男の肉感をそそるような堅肉の肉体を美しく折り曲げて、雪白のシャツを手に取り上げるのだった。葉子がちゃんと倉地にかしずいてそこにいるのを全く無視したようなずうずうしい態度が、ひがんでしまった葉子の目には憎々しく映った。

「よけいな事をおしでない」

葉子はとうとうかっとなって愛子をたしなめながらいきなり手にあるシャツをひったくってしまった。

「きさまは……おれが愛ちゃんに頼んだになぜよけいな事をしくさるんだ」

とそういって威丈高になった倉地には葉子はもう目もくれなかった。