Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme
庭の草などをつかんでいる時でも、ふと気が付くと葉子はしゃがんだまま一茎の名もない草をたった一本摘みとって、目に涙をいっぱいためながら爪の先で寸々に切りさいなんでいる自分を見いだしたりした。
同じ衝動は葉子を駆って倉地の抱擁に自分自身を思う存分しいたげようとした。そこには倉地の愛を少しでも多く自分につなぎたい欲求も手伝ってはいたけれども、倉地の手で極度の苦痛を感ずる事に不満足きわまる満足を見いだそうとしていたのだ。精神も肉体もはなはだしく病に虫ばまれた葉子は抱擁によっての有頂天な歓楽を味わう資格を失ってからかなり久しかった。そこにはただ地獄のような呵責があるばかりだった。すべてが終わってから葉子に残るものは、嘔吐を催すような肉体の苦痛と、しいて自分を忘我に誘おうともがきながら、それが裏切られて無益に終わった、その後に襲って来る唾棄すべき倦怠ばかりだった。倉地が葉子のその悲惨な無感覚を分け前してたとえようもない憎悪を感ずるのはもちろんだった。葉子はそれを知るとさらにいい知れないたよりなさを感じてまたはげしく倉地にいどみかかるのだった。倉地は見る見る一歩一歩葉子から離れて行った。