Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるおんな

或る女

有島 武郎

Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme

Aozora Bunko

同時に葉子の全身は電気を感じたようにびりっとおののいた。しかし葉子の心は水が澄んだように揺がなかった。葉子はそうしたまま短銃をまた膝の上に置いてじっとながめていた。

ふと葉子はただ一つし残した事のあるのに気が付いた。それがなんであるかを自分でもはっきりとは知らずに、いわば何物かの余儀ない命令に服従するように、また寝床から立ち上がって戸棚の中の本箱の前に行って引き出しをあけた。そしてそこにあった写真を丁寧に一枚ずつ取り上げて静かにながめるのだった。葉子は心ひそかに何をしているんだろうと自分の動作を怪しんでいた。

葉子はやがて一人の女の写真を見つめている自分を見いだした。長く長く見つめていた。……そのうちに、白痴がどうかしてだんだん真人間にかえる時はそうもあろうかと思われるように、葉子の心は静かに静かに自分で働くようになって行った。女の写真を見てどうするのだろうと思った。早く死ななければいけないのだがと思った。いったいその女はだれだろうと思った。……それは倉地の妻の写真だった。そうだ倉地の妻の若い時の写真だ。なるほど美しい女だ。倉地は今でもこの女に未練を持っているだろうか。