Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme
「そうじゃありません」
あまり葉子の言葉が激して来るので、愛子は少しおそれを感じたらしくあわててこういって言葉でささえようとした。
「もっとこっちにおいで」
愛子は動かなかった。葉子の愛子に対する憎悪は極点に達した。葉子は腹部の痛みも忘れて、寝床から跳り上がった。そうしていきなり愛子のたぶさをつかもうとした。
愛子はふだんの冷静に似ず、葉子の発作を見て取ると、敏捷に葉子の手もとをすり抜けて身をかわした。葉子はふらふらとよろけて一方の手を障子紙に突っ込みながら、それでも倒れるはずみに愛子の袖先をつかんだ。葉子は倒れながらそれをたぐり寄せた。醜い姉妹の争闘が、泣き、わめき、叫び立てる声の中に演ぜられた。愛子は顔や手に掻き傷を受け、髪をおどろに乱しながらも、ようやく葉子の手を振り放して廊下に飛び出した。葉子はよろよろとした足取りでそのあとを追ったが、とても愛子の敏捷さにはかなわなかった。そして階子段の降り口の所でつやに食い止められてしまった。葉子はつやの肩に身を投げかけながらおいおいと声を立てて子供のように泣き沈んでしまった。
幾時間かの人事不省の後に意識がはっきりしてみると、葉子は愛子とのいきさつをただ悪夢のように思い出すばかりだった。