Japanische Klassiker mit Furigana
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あるおんな
或る女
有島 武郎
Lesen Sie 或る女 (あるおんな) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 205.655 Zeichen · 406 Bildschirme
かつては葉山で木部と二人でこうした楽しい膳に向かった事もあったが、その時の心持ちと今の心持ちとを比較する事もできないと葉子は思った。木部は自分でのこのこと台所まで出かけて来て、長い自炊の経験などを得意げに話して聞かせながら、自分で米をといだり、火をたきつけたりした。その当座は葉子もそれを楽しいと思わないではなかった。しかししばらくのうちにそんな事をする木部の心持ちがさもしくも思われて来た。おまけに木部は一日一日とものぐさになって、自分では手を下しもせずに、邪魔になる所に突っ立ったままさしずがましい事をいったり、葉子には何らの感興も起こさせない長詩を例の御自慢の美しい声で朗々と吟じたりした。葉子はそんな目にあうと軽蔑しきった冷ややかなひとみでじろりと見返してやりたいような気になった。倉地は始めからそんな事はてんでしなかった。大きな駄々児のように、顔を洗うといきなり膳の前にあぐらをかいて、葉子が作って出したものを片端からむしゃむしゃときれいに片づけて行った。これが木部だったら、出す物の一つ一つに知ったかぶりの講釈をつけて、葉子の腕まえを感傷的にほめちぎって、かなりたくさんを食わずに残してしまうだろう。