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Japanische Klassiker mit Furigana

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あるしょうじょのしまで

或る少女の死まで 他二篇

室生 犀星

Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme

Aozora Bunko

あるじが長い航海に出ているのを平穏無事にと祈願しにくる中年の婦人は、いつも静かな、温かい母親の示すような挨拶をいつも私にした。そのひとは、いつも手を合せて、永い間、懐中から手帛につつんだ写真をとり出して、それを膝の上にのせては低い声で何か祈りながら、板敷の上に坐っていた。毎日、毎日、まるで印刷にしたように午後になるとやってきて、二時間あまりも坐ってお詣りしてゆくのであった。時には、父におみくじを引いてもらって、海上生活が安穏であるかどうかということを見てもらっていた。もう三十をよほど越した人であったが、内気なような皮膚の美しい人であった。

それから中婆さんの手癖のよくないのもいた。その中婆さんはいつも他の参詣人のいない、たとえばお昼飯のころとか、午後の四時近いときかに、たくみに参詣人の途絶えたとき、賽銭箱の錠を開けることが非常に上手であった。それは、一本の釘を錠穴から挿し込んで、逆にねじあけると、いつも容易に開くのであった。

その中婆さんは、すぐ裏町に娘と二人で住んでいて、いつもやって来ては、あり金を掻き集めて持ってゆくことが、私にはよく判っていた。