Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あるしょうじょのしまで

或る少女の死まで 他二篇

室生 犀星

Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme

Aozora Bunko

十一

」

私はやっとこれだけのことが言えた。胸も心も何かしら圧しつけられたような一杯な悲しみに迫られていた。

「ではさよなら。」

言い交すと、車が動いた。はじめは静かに動いて、こんどは車の輪が烈しく廻り出した。姉はふりかえった。車がだんだん小さくなって、ふいと横町へ曲った。私はそれを永く永く見つめていた。横町へまがってしまったのに、まだ車が走っているような幻影が、私をして永く佇たせた。私は涙ぐんだ。あの優しい姉もとうとう私から離れて行ってしまったかと、私はすごすごと寂しい寺の書院へかえりかかった。

十一

私は姉がいなくなってから、短い冬の日の毎日雪にふりこめられた書院で、父のそばへ行ったり縁側に上げてやったシロを対手に淋しくくらしていた。二週間もたったあとにも姉は訪ねて来てくれなかった。短い葉書が一枚来たきりであった。

別にお変りもないことと思います。姉さんは毎日忙しくて外へなど未だ一度も出たことがありませんので、あなたのところへも当分行けそうに思われません。姉さんはやはりいつまでも、おうちにいればよかったと毎日そう思って、照さんのことをかんがえます。照さんは男でしあわせです。