Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
「ほんとに綺麗ね。」
その絢爛と光る魚を指した。
私はこの金魚というものの、どこか病的な、虚偽な色彩のようなものを好まなかった。その娼婦のように長い尾や鰭に何かしら人間と共通な、わけても娼婦などと一しょなもののあるのが嫌いであった。ときには、汚なくさえ感じた。
「おじさんはどうして嫌いなの。」
「あんまりぴかぴか光るでしょう。あんなおさかなより黒い鯉の方がすきなんです。」
鯉は、じっと水中に澄んで、落ちつき払って尾と鰭を震わせた。あのぴかぴかした金魚よりは、その立派さが際立って、静かさ寂しさをさえ私の胸につたえた。ことに私たち人間から見れば、どことなく寂しい気がする魚族の幽邃さは、この健康な生きものの上にも充分に読まれた。その動かない目はちょうど重い牛の眼を思わせるほど、あやしい神秘的な、しかも思慮深そうに蒼蒼と澄んでいた。
山椒魚や鰻は、ふじ子をいやがらせたばかりではなく、
「おじさん。出ましょうよ。わたしあんなおさかなを見ると恐くなるのよ。」とさえ言わせた。
大きな椎の蔭に、らくだが長い首を柵のそとへ出していた。そこらの赤土が白っぽく乾いて暑そうに見えた。