Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
「お父様も出ていらしったら、みんなで植物園へゆきましょうね。」
「え。きっとよ。」
私達は家へかえると、母なるひとが今日は大変おせわになったと、礼をのべて行かれた。私は配達されてくる、まずい夕食をひとりで待った。その夕食を待つ心持には、いつも私を陰気にした。それは町の方から定刻になると運ばれてくる貧しいものばかりであった。私はひとりでよくそれを机の上にひろげた。そうしながらも、自分は自分を信じるちからが大きかったため、いまある生活がきっと自分を善くしてくれることを考えていた。茶ものめなかった旅行中のドストイエフスキイや、いつも愛と餓えとの永い彷徨をつづけたヴェルレエヌ、ミレエの窮乏、ミケランゼエロの苦しみ、そうした先人の道程を考えるとき、私はかえって指してゆくところに明るみ光り望み生命を感じた。まだ来ない幸福や喜びや芸術の出生やを、私はあたかも一つの山嶽を前方に凝視するような心持で、それに近づくために忍ばなければならないもの一つ一つに、耐えゆかねばならないと感じた。日は暮れた。
ある日、私の家を訪うものがあった。出て見ると巡査だ。自分は突嗟に、この夏の苦しいあの出来事があたまに殺到して浮んできたのであった。