Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
「お前はなかなかお茶の飲みかたが上手くなったが、いつの間に覚えたのか……」などと、父は言ったりした。
「いつの間にか覚えてしまったんです。いつもあなたが服んでいるのを見ると、ひとりでに解ってくるじゃありませんか。」
「それもそうじゃ。何んでも覚えて置く方がいい。」
そういうとき、父はいろいろな古い茶碗を取り出して見せてくれた。初代近い釜らしいという古九谷の青や、まるで腐蝕されたような黒漆な石器や、黄と緑との強い支那のものなど、みな幾十年来の数繁き茶席の清い垢と光沢とによって磨かれたのが多かった。そういうものは私にはわからなかったが、父の愛陶の心持がいつの間にか私をして、やはり解らぬままに陶器を好くようにさせていたことは実際であった。
父は、そのなかから薄い卵黄色の女もちにふさわしい一つの古い茶碗をとり出して、
「これはお前ののにするといい。」と、私の手にわたした。
私はそれを茶棚の隅に置いて、自分のもちものにすることが嬉しかった。
父は童顔仙躯とでもいうように、眉まで白く長かった。いつも静かな看経のひまひまには、茶を立てたり、手習いをしたり、暦を繰ったり仏具を磨いたりして、まめまめしい日を送っていた。