Japanische Klassiker mit Furigana
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あるしょうじょのしまで
或る少女の死まで 他二篇
室生 犀星
Lesen Sie 或る少女の死まで 他二篇 (あるしょうじょのしまで) von 室生 犀星 (むろうさいせい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 113.554 Zeichen · 228 Bildschirme
「どうして手紙を渡せるんだ。あそこへ君は持って行ったんじゃなかろうが。」
「なあに君、たいがいの女は手紙をうけ取ってくれるもんだよ。」
「だってあの女の人が、お母さんに言いつけたら君はどうするんだ。」
「言うもんかね。大丈夫言いはしないよ。そんな頓馬なことを言ったらあべこべにお母さんに叱られるばかりだよ。ほらこっちを向いたろう。手紙を読みたくてしようがないんだよ。」
実際、色白な娘が、そしらぬふりをしながら、此方をときどき盗み見た。私ははっとしたが、表は落ちついていた。どちらかといえば不思議なような、それでいて馴れやすい目をもった女は、私よりもやはり絶えず表に注意をしながら二階の方を素知らぬふりで幾度も見た。
「このつぎの幕間に僕はあの女を呼んで見せるよ。僕の近所の女なんだよ。向うだって知っているに決っている。」
「だって呼ぶってどうするんだ。向うにお母さんがついているじゃないか。」
「まあ見ていたまえ。」
表は落ちついて、次の幕のハネるのを待つように言ったので、私はその娘の桃割と派手なつくりのお太鼓とを見つめていた。そのおとなしそうで内気な女が、いま私の傍にいる友の手紙をうけ取ったということさえ殆んど奇蹟的であるのに、表が彼女を呼んで見せるということが、これまた信じることの出来ない不審なことであった。