Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 186.659 Zeichen · 372 Bildschirme
あの利家のことを申すのでござる。若年よりの口ぐせで、つい、お犬お犬と、呼びならわし、今さら前田とも利家とも、呼び難うてな。あははは」
佐々成政と井伊兵部とは、酒を酌み交わしながらこんな調子で話しこんだ。兵部は、無遠慮に、訊いてみた。
「前田どのと、佐々どのとは、むかしから犬猿もただならぬ仲と承るが、こんどのお味方も、於犬が憎さに、徳川方へ御加担というわけですか」
「ばかなことを仰っしゃい」
成政は、眼をむいて、怒った。なるほど、自尊心のつよい一徹武者らしいと、年の若い兵部の方が、かえって、観察的な微笑をもって、かれの怒色をながめていた。
「柴田勝家の亡きあとも、なお、故信長公の思し召しのまま、北陸にあって、上杉その他の野望家を圧えておるのは、この佐々のほかには、一人もおざらぬ。――於犬の如きは、同じ筋目の者でありながら、本能寺直後には、立ちどころに、態度をかえ、秀吉ずれに、媚を売って、身の栄達に汲々たる――文字どおりの犬でござる。いやしくも、成政は、人でおざれば、犬との交際には、事ごとに、蔑視をくれておるにはおるが――このたび徳川どのへ申し入れた一儀は決して私怨などではない、公憤でござる」