Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme
見て参る」
藤吉郎は、麻の中を、麻のざわざわ騒がぬ程に、そっと這って行った。
小屋の中が見えた。ただの土民の家でしかない。ひどい茅屋である。
じっと、麻畑から窺うと、うす暗い燈火の中に、二つの人影が見える。
ひとりは老いたる母とみえ、莚のうえに平たくなって寝ていた。また、も一人はその子とみえて、老母の腰を揉んでいるのだった。
「…………」
藤吉郎は、鎧や、太刀に固めている身もわすれて、息もせず見惚れていた。
老母の髪はもう白く、子は逞ましいが、まだ十六、七歳にしか見えない。
「…………」
彼は、その母と子が、他人の姿とは思われなかった。突然、中村のわが母と、自分の少年の頃とを、見せられた心地がしていた。
「……おや?」
母の腰を揉んでいた若者は、急に鋭い目をしていった。
「おっ母さん、ちょっと待って下さいよ。……何だか変だ」
「なんじゃ、茂助」
と、老母も身を起した。
「急に、虫の音が、はたと啼き止みましたが」
「また、物置へかかりに来た獣じゃろ」
「いいえ」
強くかぶりを振って、
「獣ならば、灯影のさしているうちは寄りつきません」
ずかずかと、縁ばたまで、出て来たと思うと、いつ持ったか、若者の手には山刀が抱えられていた。