Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

お許たちに害意はない。さしつかえなくば御素姓をお明したまわらぬか」

――と。

母のそばへ坐り直していた茂助がふいに訊ねだした。

「お武家さま。あなたも尾張訛があるね。尾張ですか」

「むむ。わしは中村の生れだが」

「えッ、中村。じゃあそう遠くもない。おらは丹羽郡御器所の生れだ」

「ほ。……然らばおぬしとは同国だのう」

「尾州の御家士なら何でも申します。――父は、堀尾頼母と申し、わたくしは幼名小太郎、今は茂助といっております。父は長らく丹羽郡小口の砦にいて、信長様の御一族の織田下野守信清様に仕えていました」

「ヤ、それは奇縁。信清様の臣下とあれば、信長様の御家中も同じこと」

「――ですが、信清様には、或る御不平から、一族の信長様に弓をひき、斎藤家に利用されて、美濃へ内通なされました」

「そうだ。……岩室長門どのが戦死し、つづいて前田犬千代――今の前田孫四郎利家どのが、討手を命ぜられて、御一族の仲にありながら、多年の合戦であった」

「私の父も、その戦いで相果て、また、主家も遂に亡びました。――そこで一人の母と共に、美濃の知るべを頼ろうと、この山里まで来ましたが、所詮、美濃と尾張とは、ゆく末合戦の絶えない国、美濃の恩を食めば、尾張へ弓を引かねばならず、尾張に住めば、信長様に敵対した謀叛人の家来の果てよと嘲られます。