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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

こうした生命を何のために生かしきろうか。いうまでもなく皇天后土に帰すべきであると彼も知るのだった。元朝の一瞬、わけてそれを深く思うべく、彼はそうして霜に坐る例をみずから立てた。そして京都のほうへ向って伏し拝んだ。

起って、歩を移すと、そこから遠からずして祖廟のまえに出る。ここは信長が居城してから造った先祖の御霊廟である。

おそらくは、生前、

(この痴児、今の乱世に生れて、どうして国を持って、生きてゆけるだろうか?)

と、案じぬいたままで世を去ったであろうと思われる彼の父、織田信秀の霊も、そこにあった。

水を捧げ、香華と共に、元旦の供物をそなえ終ると、信長は、侍臣や小姓たちを顧みて、

「あっちへ行っておれ」

と、いった。

「はッ」

と、段を下り、十歩ほど退って、列立していると、信長はまた、

「もっと、ずっと彼方へ、去んでおれ」

と、手を振った。

まったく人気がなくなると、信長は父の石の前で、何やら生ける人へものいうようにいって、やがては、懐紙を取り出して両眼を拭っていた。

彼の父が生きていた頃の彼は、人も知るが如き痴狂児といわれ、父の死後も長年、うつけの殿で通っていた程なので――今日に至るまでも信長はめったに仏事供養などしたことがない。