Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

「一生を棒にふッたか」

と、さえ臍をかむことが、度々であった。

そういう憂鬱が、胸中から上に出て来たように、折も折、彼は小瘡という皮膚病をわずらいだした。それは人目にもわかる程だったので、むしろ幸いにして、主君に暇を乞い、山代の温泉へ行って、病よりはむしろ心の鬱を忘れようとしていた。そして、

「久しく園阿どのへも無沙汰しているが、そうだ、この暇に」

と、思い立って、山代からまた、三国へまわり、一日、園阿と共に小舟を泛べて、津の御島へ遊んだ。

園阿は詩僧であった。よく詩をつくる。光秀もまた、多少風流を解すので、舟遊のうちの話も合う。

「光秀どの、こうして、自然の子となって、天地の間に、悠々の一舟を泛べ、水にまかせて遊んでいると、ほんとに、生きている味がするでしょう」

「久しぶり憂悶を忘れました。愚かな日常の齷齪が、われながら嘲えて来ます」

「どうです。今の御心境のままを日常に持っては。――朝倉家に身を置くはいいが、わずかな禄米や小功を争って、醜しい内争に禍いされているよりは、こうして悠々と、生涯を棹さしては」

「とは、思いますが」

「できませんなあ。はははは……いうはやすいが」