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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

光秀は、ふたたび憂悶に囚われだした。――そういう事々が、彼の澄んだ眼には、余りに見えすぎるための憂鬱症であった。たとえば人間の視力というものも、人並みに見えるのはよいが、人の肉眼には見えない微細な黴や虫や塵ほこりがもし見えたら、その人間の不幸であるように――彼の澄明な頭脳には、余りにも、周囲の音なきうごきや闇の争いまでが見えすぎて、かえって彼を憂鬱な殻に閉じこめさせてしまう傾きがあった。

ために、皮膚病は癒えても、心の黴はまた彼の心を腐らしてきた。彼はほとんど門を閉じた幽囚の人も同様に、冷んやりした邸の奥に、毎日、なすこともなく、書物ばかり読み耽っていた。

何かといえば、彼は書物へ心を潜めた。それが最もいいことであると彼は信じているふうだった。書物によって、聖賢の道を辿れば、なおさら、世間に腹が立って、よけい世間と遠ざかることは意識しながらも、なお、彼の高潔な趣味と修養の心掛けは熄まなかった。

彼には愈、世間から超然とした学識が蓄えられた。ひそかに誇るところが高かった。

折からここに、彼の幽愁の門をたたいた人物がある。――光秀にとって、それは思いがけない出来事だった。