Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme
その物々しさを、藤吉郎は、客に対して気の毒に思ったか、
「お退りあってよろしい」
と、主君の身辺は、自分がひきうけて保証するかのような信念でいった。
静かに、みな退った。しかし、隣室や信長のわきの武者隠しには、勿論、息をこらして万一に備えている武士がいることはいうまでもない。恐ろしいのはむしろ、単身平服で坐っている荒木村重でなければならなかった。
けれど村重は、平然と胸を反らしていた。年はわずか二十二歳だというが、体躯は小さく、容貌は魁偉だ。幼少の頃、疱瘡でも煩ったか、瞼の片方が抓んだような、いわゆる「眼ッぱ」になっていて、しかも色は黒いし、痩せ骨の尖っている体つきで、見るからに人好きのしない風采であった。
藤吉郎が余り賞めたせいもあろうが、信長は、
――こんな男か。
と、興もなげであった。一応の挨拶はしたが、無口で無愛想な顔をいつまでも疣蛙みたいにそこに据えているのが、信長は何か小癪にさわってきた。――小癪にさわるというような、誰とでも対等になって働く青年じみた感情は、まだまだ多分にある信長なのである。
「村重。餅は嫌いか」
いきなり云い出したので、不敵者の村重もその眼ッぱの眼を、びくと上げて、