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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme

Aozora Bunko

彼の母の松波は、一間のうちから、われを忘れて庭面へ駈け下り、亀一の体を抱きあげて、おろおろと、

「どこぞ打ちはしなかったか。……亀一よ、亀一よ」

良人の余りな手荒を恨むが如く、水よ薬よと、下僕たちへ呼び立てた。

「ばかッ」

小六正勝は、妻を叱って、

「何を泣く、何を宥る。おまえがそのように育てるから、亀一も柔弱になるのだ。死にはせぬ。――寄るな、あッちへ行っておれ」

水や薬を持って来た下僕達も、小六の峻厳なその顔つきに、空しく遠くから見ているだけだった。

妻の松波は、涙を拭いた。その懐紙で、抱いている亀一の唇から流れる血を抑えた。父の槍で突き飛ばされた弾みに、唇を噛んだか、石にでも打ったものであろう。

「痛かろ。……どこぞ、ほかにも打った所はないか」

どんな無理も不平も、その場では、良人へ口応えはせぬ妻であった。いや時代の家風だったといってよい。

ただ、涙になる。

亀一は、ようやく、気がついて、

「癒りました。もうなんでもありません、母上、あッちへ行って下さい」

槍を持って、痛みを噛み怺えながら、再び起ちかけると――その健気ぶりが、初めて父の心にかなったか、