Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.353 Zeichen · 371 Bildschirme
「御時勢はありがたいな。汝のような男でも、侍に抱えてくれる者がある。――主人は誰か」
「織田上総介信長様です」
「あの、じゃじゃ馬か」
「時に」
藤吉郎は、ちょっと、語気をかえて、
「つい、私事の余談のみ先に申しあげましたが、今日は、信長の一家臣木下藤吉郎、実はひそかにわが君の上意を帯してこれへ参りました」
「そうか。汝が使者か」
「通ります。――御免」
いうと、藤吉郎は、陣草鞋を脱ぎすて、小六の腰かけていた縁先の沓石から、ずっと上がって、書院の床の間をうしろに、自分で上座を取って悠ったりと坐りこんだ。
「ほう」
小六は、縁に腰をかけたまま、動かなかった。
上がれともいわれないのに、ずかずか踏み上がって、書院の上座へ大きく坐った藤吉郎の姿を、そこから振り向いて、
「猿」
と、呼んだ。
さっきは答えたが、今度は答えない。藤吉郎は、じろと眼を向けただけである。
小六は、稚気を嘲うように、
「おいおい猿。汝は、遽かに容態を構え直したが……ははあ、今までは、一個人として挨拶したが、これからは信長の使者という格式であるぞ――というわけか」
「そうです」
「では、すぐ帰れ」
「…………」