Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.320 Zeichen · 398 Bildschirme

Aozora Bunko

「参ってもよろしいでしょうか」

と、ゆるしを仰いだ。

はて――? と秀吉はそれへ眼をそそいでいた容子である。平常あまりないことだからである。しかしすぐ頷いて、

「行って来い」

と、いった。

松千代は父の家来に従いて駈けて行った。陣屋陣屋ではどこも火を焚いていた。またどこの部隊も陽気だった。もう餅も酒もないけれど、正月気分は幾ぶんかまだ残っている。――こよいは一月十五日だった。

父は陣屋の中にいなかった。この寒いのに、仮屋からずっと離れた山鼻の一端に、床几をおかせて、腰をかけていた。

吹き曝しである。見晴らすには何の邪魔物もないだけに、寒風は好き勝手に肌をめぐって血も凍えるばかりである。が、官兵衛孝高は、まるで木彫の武者像のように、ひろい闇へ向って、じっとしていた。

「父上、松千代にございますが」

そばへ来て、ひざまずいた子のすがたへ、彼は初めて、少し身を動かした。

「殿のおゆるしを得て来たか」

「はい。お断りして来ました」

「しからば、しばしの間、父に代って、ここの床几に腰かけておれ」

「はい」

「眸はしかと、ここから真正面の三木城をにらんでおれ。――というても、星さえ暗い、城の方には、一点の灯もない。