Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
座敷の隅に、小机を抱えていた明智家の士、東六右衛門が、
「不束ですが、主君のお申しつけ、もだし難く、私が認めまする」
と、紹巴へ答えた。
紹巴は、如才ない調子で、
「御謙遜でしょう、あなたのお筆ならば、勿体ない程のものです。これなどは――」
と、子息の心前をさして、
「歌の真似詠みは小賢しゅうとも、書とあっては、不勉強なので、ひと前には出せないような文字しか書けません」
父の悪口を、心前は笑いにまぎらして、
「それは御無理です。東どののお父上は、明智家随一の能書家と伺っております。その御子息ですからね」
「すると、おまえの悪筆も、父親のせいか」
「似ないでは、子として、不孝とぞんじまして」
「やりおる」
と紹巴は苦笑して、光秀のほうへ、身をのばしながら、
「――殿。こういう不所存者でございますよ。ちと、お叱り下さい」
と、告げ口した。
「…………」
光秀は、こちらを向いて、にたりと笑ったが、親子の戯れを、よく聞いていたのか否か、あいまいな顔いろであった。
こよいの彼はどことなく変っていた。けれど平常が寡黙で生真面目なほうだから、だれもそれを怪しまなかった。
「御苦吟の体でございまするな」