Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
じゃれる。からみつく。そのうちに耳の穴をのぞいて、
「おひゃらく様のお耳には、お耳の中から毛が生えている」
「一ぽん、二ほん」
「三ぼん、四ほん……」
節をつけて歌いながら、女童たちが耳の毛を抜いていると、男の子は、背中へ跨がって、
「お馬になれ。お馬になってヒンと嘶け」
と、白髪頭を圧し伏せる。
「ひん、ひん、ひん」
長閑斎は甘んじて這い歩くのである。そしてくしゃみをした途端に、背中の子が落馬した。侍女も傅人も、腹をかかえて笑いこける。
奥の一間で何かしめやかに話しこんでいた光秀の夫人と左馬介光春も、此方を振り向いて、誘い込まれるように笑っていた。
夜に入っても、この笑いさざめきは止まない。光秀のいる本丸とここでは、さながら氷雪にとざされた冬の野と、春の国ほどな相違があった。
「叔父上には、お年もお年、戦陣へお出向きあるよりは、ここにござあって、和子や女子たちの、後顧の者をお傅り下されたほうがありがたい。大殿にも私からそう申しあげておきましょう」
奥曲輪から退がる折、光春がいうと、長閑斎は、
「わしに果せるお役目はまずそれくらいかも知れんな。何しろこのとおり皆が離さんしのう」