Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme

Aozora Bunko

「夜もだいぶ更けました。わたくしは、お暇をいたします」

「まだよい。まだよい」

いつになく信長はとめた。

「二条ではないか。更けたとてすぐそこだ。春長軒はすぐ門前。博多の客殿は、まさか博多へ帰りもなるまい」

「いえ、てまえだけは」

と、島井宗室も帰る体を示して、

「明朝、会う約束の者がございますゆえ」

「では、泊るのは宗湛ひとりであるか」

「わたくしは、宿直を仕ります。茶室のあと片づけも仕残しておりますから」

「宗湛の泊るのは、信長のためではあるまい。大事な道具を携えて来ておるため、道具の宿直に残るのであろう」

「御賢察にたがいませぬ」

「正直に云いおるわ」

一笑してから、ふと後ろの床を振り向いて、壁間の一幅を飽かず見つめ出した。

「……さすがに、この牧谿はよいの。近頃の眼福。信忠もよう観ておけ。これがかねて噂にも聞く牧谿の遠浦帰帆之図。なんと宗湛は、憎い名幅を所持なす男ではないか。――が、この男、かほどな名画を持って、持ち負けせぬ男かどうかの?」

突然、宗湛、大口あいて笑い出した。これでこの男の面目は躍如と見えた。眼に信長もない笑い方である。

「宗湛、何を笑う」

すると宗湛は傍人を顧みて、