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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme

Aozora Bunko

「これは、いずれに置くのが正しいか、数日後、堺の宗易どの、宗及どのなどともお会いしますから、よく一同で熟議しておきましょう。まったくは、筆者の牧谿その人に糺すのが、いちばんですが」

信長の機嫌はいよいよ麗しい。それからも侍臣が燭を剪ること数度だったが、白湯のみ飲みながらなお時の移るも知らない。

夏の夜とて、伽藍の蔀も扉もみな開け放してある。

そのためか、燈火の火色はたえず揺らぎ、夜霧の暈がぼっとかかって、牧谿画く遠浦帰帆の紙中の墨にまで滲みあうような湿度であった。

もし誰か、燈火占をなすものがいて、この夜の灯に対していたら、すでに何かの凶兆が、夜霧の暈や丁子の明暗にも、卜われていたかも知れない。

表の寺門を叩く音がした。程経て近習から、中国の戦場からお飛脚がいま到着と披露してくる。

それを機に、信忠が立ち、宗室も辞した。

「……帰るか」

信長もついに一緒に起って、橋廊下のこなたまで共に歩いた。

「御寝なされませ」

信忠はもういちど、橋廊下から父の影を振り向いた。

村井春長軒父子は、その側に、紙燭を持って佇んだ。もとより何の予感があったわけではないが、父子が今生の永別を一瞬惜しみあうために、その紙燭はしばし夜風に燃えているようだった。