Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme

Aozora Bunko

市

市

小姓の脇坂甚内や片桐助作や石田佐吉など。また侍たちも各※(二の字点、1-2-22)の幕囲いから飛び出して来て、秀吉のそぞろ歩きに従った。

「あれは、旅芸人の群れが、ふもとの市に、小屋を掛けて、人寄せをしている音曲でございましょう」

蜂須賀彦右衛門の子、小六家政がそう答えた。

小六という名は、蜂須賀代々の名で、父のものであったが、いまは青年家政が譲りうけてそう称えている。

「ほう。この麓に、いつのまに市などができたか」

見にゆくつもりか、秀吉は龍王山の坂道をのぞいていた。何の予告もなく、彼が陣外へ逍遥して来るのを見て、哨戒の兵たちは、眼をみはっていた。

「実に、早うござります。商人というものは」

生駒甚助が、傍らから答えた。これは近侍中での老武士で、世態を観る眼をそなえている。

「ここへ御本陣がさだめられたと知ると、翌る日はもう近村の男女が、働きを求めに来たり、残飯を乞いに来たり、野菜、菓子、針や糸の類まで売りに参ります。さらに御滞陣が十日にわたると、ぼつぼつ露店を並べ出し、洗濯女や一杯売りの酒瓶屋も集い、やがて半月ともなれば、こんどは遠郷近国からも、あらゆる商人どもが寄って来て、忽ち、市を開き、市を目あてに、旅の芸人までが寄って来るというわけで、はやここの麓には、小さな町ほども人々が賑わって生業をいたしおる