Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.903 Zeichen · 400 Bildschirme
「旦那。文句は云いませんから、働いただけを払っておくんなさい。軍札だの、米券だのと、紙屑をいただいたって、腹はふくれやしません。第一この戦に、羽柴様が負けたひには、その紙屑を持って、いったい何処の誰から金を引き換えてもらうんですか」
「心配いたすな。その儀なら」
「おっと、待っておくんなさい。――戦にはきっと勝つからとおっしゃるんでござんしょう――とんでもねえこった。御大将や旦那がたは、命を賭けたばくちでござんしょうが、そんなばくちに、半口乗るこたあ、こちとらあ、真っぴらおことわり申しますぜ。……なあオイ、みんなッ、そうじゃねえか」
堤の上から手を振って、数千の人夫に合意を求めると、たちまちわあっとそれに応じて、見える限りの人間の頭と手とが波のように騒ぎだし、
「やれ! やれ! しっかりッ」
と、名代たちを応援した。
「それだけか。不平は」
官兵衛のことばに、五名は、
「へい。まず一番に、それからかたをつけていただきたいもんで」
と、衆を恃んで、怖れ気もなく云いたてた。
「成らんッ!」
官兵衛は、初めて、ほんとの声をふりしぼった。竹の杖を投げるやいな、陣刀を抜いて一人を真二つに斬り、逃げるのを追って、また一人斬った。