Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme
と、入口の方にあたって、武辺らしい者のおとずれも聞えた。
「外に、お客らしいが……」
と、友松は尼の注意をひくように呟いたが、尼は、意にかけるふうもなく、依然、曲をつづけて、ついに終りまで弾き終ってから、やおら於通の方へ云った。
「こんな夜中に、たれであろ、出てごらんなさい」
「はい」
於通は、やがてもどって来て、
「たれか余人がおるらしいから、名はいえぬ、禅尼どのに、お目にかかればわかる――というて、上方の武家らしきお人、従者三名ほどをつれ、馬二頭ひいて立っておりまする」
と告げた。
尼は、存外きつく首をふって、
「夜中、名もつげぬお方にお会いはできぬ。ここは尼院、宿ならほかへお求め下さいと仰っしゃい」
「ハイ」
と、また於通は立ってゆき、こんどはなかなかてまどって、何か押し問答に会っているらしい。
友松は、膳の前を離れた。
「思わず長座しました。上方の武辺と聞いては、事面倒、お尋ね者は、逃げ出すとしましょう。……ああよい半日を過ごさせていただいた」
「まあ、よいではございませぬか」
「いやいや、ほろりと、よい頃、夜梅を見ながら寝に帰ります」
「そうですか」
と、尼は自身、送って出た。