Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme
と、駈けつづいて来る諸将をふりむいて、
「あまり来るな。たくさんは敵の目につく」
勝入の聟、森武蔵守が、つい数日前に戦死したという羽黒村を駈け通って、敵本営にまぢかな二宮山へ登って行った。
ここに立てば、小牧山は眼のまえにあり、尾濃の平原は、草の海にも似る。
北畠、徳川の聯合軍は、およそ六万一千余と聞いていた。秀吉は、遠くへ、眼をほそめた。真昼の陽がまぶしげであった。何もいわず、小手をかざし、おッとりと、眼にあまる敵営団々たる小牧山をながめていた。
この日、家康はなお、清洲にあった。
いや、小牧へ出ては、布陣のさしずをし、またすぐ清洲へ帰っていたのだった。
進退、いやしくもしない。その要心ぶかさ、名人が一世一代として打つ一石の重さにも似ている。
「筑前守が、昨夜、岐阜へ入りました」
という確実な諜報を彼が得たのは、二十六日の夕方だった。
ちょうど、榊原や本多、その他の側臣たちと、一室にあって、諸塞の構築が終ったのを聞きながら、脇息を胸に抱かせて、絵図を見ていた家康は、
「……筑前、出でたるか」
と、ひくい声でつぶやき、左右の者と、面を見あわせて、にやと、亀のような眼元に皺をよせて笑った。