Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

「安土のお城でも、鉄砲の音は、つねに聞いておりましたから」

と、あたりまえに答えた。

「そうか、では……」

と、秀吉は眼で、近う――と彼女を膝近くへ招いて、一つの任務をさずけた。

「そもじならでは難しい使いがある。これから行ってくれぬか」

「お使いなら、いと、おやすいことです」

「いや、たやすくない使者だ。なぜならば、ゆく先は、敵国の領地――岡崎への間道にあたる徳川方の森川権右衛門の城まで行って、この墨付を、届けてもらいたいのじゃ」

秀吉は、そのわけを、云いふくめた。

大留城の森川権右衛門には、すでに池田勝入が手をまわして、岡崎の間道を通るときは、寝返って、味方につく密約ができている。

しかし、成功のあかつきに、賞として、五万石を与えるという条件は、まだ、勝入の口約だけで、秀吉の墨付は行っていない。――それを、秀吉は、ふと気がかりしたのであった。

「参りましょう」

かの女は、秀吉のことばの下に、はっきり答えた。――それには、かえって、秀吉のほうが、

「行けるか」

と、二度まで、念を押したほどである。於通は、微笑のもとに、

「はい。今からでも」

と決意を眉に示し、はや、身支度のことやら、途々の敵状などを、さすがに女らしい細心さで、訊ねたりした。