Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme
「まだ、おいでかっ」
「早く、お退きあれ、お落ちあれっ」
と、味方の旗本は、かれの姿を見ると、叱るように云っては、討死していた。
木下勘解由も、秀次が、馬を見失って、徒歩だちになっているのを見、
「さ。これに召して、一鞭、眼をつぶって、ここをお立ち退きなされませ」
と、自分の馬を、かれに与え、そしてかれ自身は、旗さし物を地に立てて、敵勢の中へ斬りこんで死んだ。
秀次は馬に、手をかけたが、その馬も、秀次が乗らないうちに、弾に中った。
そのそばで、木下助右衛門も、秀次を助けるために、斬り死してしまった。
「おういっ。その馬を貸せ」
秀次は、乱軍の中を、夢中で逃げのびながら、すぐわきを駈けてゆく味方の騎馬武者を見つけ、こう声をかけた。
呼びとめられた騎馬武者は――三好家の家臣、可児才蔵吉長だった。
がきっと、手綱をしめて振り向きながら、歩いてくる主人の秀次を見、
「若殿。何事です?」
「才蔵。馬を貸せ」
「雨降りに傘。――貸せません。いかに主君のおことばでも」
「なぜ、貸さぬ」
「あなたは逃げ人。てまえはなお、先へ駈け入る兵力ですから」
ニベもなく断って、才蔵は駈け去ってしまった。