Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme
第三隊は、軍監の堀久太郎秀政がひきいていた兵力、数は約三千。
第一から第四までの、隊と隊とのあいだは、およそ一里か一里半ぐらいな距離をもっていた。
その間、たえず使番が連絡しているので、一隊が休息すれば、当然、次々に、各隊も行軍を停止する。
久太郎秀政は、ふと、
「鉄砲だな?」
と、遠くへ、耳をすました。
ところへ、秀次の臣、田中久兵衛が、馬をとばして、休息中の陣へ、のめり込んで来た。
「味方、総やぶれだッ。本軍はあとかたもなく、徳川勢に駈けちらされた。秀次様のお身もこころもとない。すぐ、取って返されい」
と、血まなこで、わめいた。
久太郎は、愕とした。しかし重厚な眉がこういうときの意志を支えていた。
「久兵衛。おぬしは使番かの」
「この場合、何を問わるる」
「使番でもない御辺が、あわてふためいて、何しに駈けた。逃げて来たか」
「いや、知らせに来たのだ。卑怯か、卑怯でないかは知らぬが、何しろ、大変じゃ、この一大事を、森どのへも、池田どのへも、一刻もはやく知らすのじゃ」
秀次の番頭田中久兵衛は、そう云い捨てて、さらに一里――また一里先の味方へ――ムチをあげて消え去った。