Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 176.911 Zeichen · 353 Bildschirme
(さては、死装束の用意とみゆる。死を決した敵ほどこわいものはない。あなどッて、死神につれ込まるるな)
と、左右の者へも、戒心を与えていた。
だから、ここの一点の対陣だけは、どっちからも、容易に手出しをしなかった。
武蔵守は、こころに、
(田ノ尻の戦況が烈しくなれば、かならず家康は、坐視していられまい。兵をさいて、加勢を送るだろう。――その潮こそ、討ちこみどころ)
と、相手のうごきを見ているし、家康もまた、
(精悍無比のきこえある鬼武蔵が、じっと、鳴りをしずめておるには、何ぞ、劃策があるにちがいない)
と、容易に、その手はくわないのである。
が――田ノ尻のもようは、武蔵守の期待をうら切って、かえって、池田兄弟たちの敗色が濃い。
(いまは)
と、かれも、待ちしびれを思い断ッた。ところが、そのとき家康のある前山の一端に、今まで、見えずにあった金扇の馬簾がさッと高く揺れあがり、全軍の半分は、田ノ尻へ駈け、のこる半ばの軍勢が、わーっと、声つなみをあげて、この岐阜ヶ嶽へ、先を取って、攻めてきた。
森隊も、どっと駈け合わせた。からす狭間の低地は、駈けあう両軍の兵で、血の卍になった。