Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.076 Zeichen · 256 Bildschirme
折角の好意が無になって、妙なものになるであろうと思い思い行った。
冬靄が紫にうるんだような色の絹のカーテンが、一枚ガラスの広い窓に垂れかけられて、しっとりと光っているところに金文字でカフェーナショナルと表わしてあった。外飾りなど見るひまもなく、周章て、扉の口へとびこんだ。カフェーへだとて、飲料がほしければはいりそうなものであるが、若い人の、歓楽境のようにされてるそうしたところへは、女人はまず近よらない方がいいという、変な頑固なものが、いつかわたしのめんどくさがりな心に妙な根をはっているので、不思議なはにかみを持って扉の中へはいった。
下足にお客でないことを断って来意を通じてもらうと他の者が出て来た。また繰返していうと、こんどは絣の羽織に袴をつけた、中学位な書生さんが改めて取次ぎに出た。わたしはぼんやりしながら、三度目の繰返しをした。当の主人公は知っていても、此処の周囲の人たちは、変な来訪者だと怪訝に思ったに無理はない。
分前髪の、面立ちのりりしい、白粉のすこしもない、年齢よりはふけたつくりの、黒く見えるものばかりを着た、しっとりとした、そのくせ強かりとしたところのある、一目に教育のあることの知れる婦人が出て、あいにく逢えないことを詫び、明日の時間のことについて、二言三言丁寧な挨拶がかわされた。