Japanische Klassiker mit Furigana
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めいじびじんでん
新編 近代美人伝 (上)
長谷川 時雨
Lesen Sie 新編 近代美人伝 (上) (めいじびじんでん) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.076 Zeichen · 256 Bildschirme
すべてを有のままにしておいて、倉持を愛していたのならば、鎌子の情操を疑わなければならない。問題は唯この一点だ。
けれども多く非難の的とされたのは、男女のどちらからが誘惑したかという事と、心中をすることをどちらから言出したかという事とであった。誘惑云々という事は、もの心のつかない童男童女の上ならば知らず、廿四歳の青年はそんなことを聞かれるのさえ侮辱だ。鎌子にしても、単に、男に誘惑されてああなったとすればあんまり単純すぎる。出来てしまってから結果を考えて、顫えるような無智な女ではないであろう。そういう事になる前にこそ、死よりも切ない懊悩があったはずである。私はそうだと独りできめてしまうのではないが、どうもこの心中は倉持から言出したものというように思われてしかたがない。無論前にもいう通り二人の恋愛関係がはじめから誤った姑息な手段で、糊塗していた事が、因をなしたには違いないが――
その事についての道学者たちの争いもたいしたものであった。ある人は、
「死んでしまえばなんでもなかったのに」
といったり、彼女の母校であった学習院女学部の主事は、
「今までも他の学校よりは徳育に力を尽していたが、こんな出来ごとがあった以上、この後はなお一層その点を注意したい。