Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
自分の作ったものの腹の中へ転がり込むんだからな。東山の土が柔かくって、あんな柔かい土もないもんだ。」
唇の色だけまだ赤く美しい、父の顔を見上げるときどき、ふと矢代には先祖の歴史と父の仕事との関連が泛んだり消えたりした。そして、今のうちに自分の知らぬ部分の家の歴史を聞いても置きたく思ったが、父の眼には、子とおよそ違う身を打ちつけて来た重なる山岳の重量が、過去の幻影となって襲って来ているにちがいない。実に健康な若若しい日の父の姿も、羨ましくその厚い両肩から感じられた。彼は千鶴子と自分との間にもし子供が生れたら何をその子供らがするものだろうかと、まだ父には告げぬ自分の嫁のことなども考えられたりした。
「お父さんの苦労がそう僕に分っちゃ、うっかり汽車にも乗れなくなりますね。困ったことだ。」と矢代は母を省みて笑った。
「お前は今日は、百姓したそうだね。」と突然父は訊ねた。
「どうも先祖のしたことも知らずにいちゃ、罰があたると思ったもんですから、一寸真似をしただけですよ。しかし、あれは気持ちの良いもんですね。こんなことも忘れていて、何を今まで考えていたんだろうと、今日は少少後悔しましたよ。