Japanische Klassiker mit Furigana
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にほんふどうき
日本婦道記
山本 周五郎
Lesen Sie 日本婦道記 (にほんふどうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.170 Zeichen · 22 Bildschirme
彼は手をあげて面を掩った、そしてしずかに涙を押しぬぐい、膝を正しながら言葉を続けた。
「おれがその事に気づいたのは七歳のときだった、前にも後にも知らないが唯いちど、おまえは夜なかに寝言を云った、子供のことでそのときはなんとも思わなかったが、ずっと後になってふと疑いがおこり、なにか事情があるものと察して父上に訊ねた、そして会津このかたの精しい話を伺うと、すべてが眼の前にはっきり見えるように思えたのだ、それ以来ずっと、日夜おまえの挙措に注意してみて、おれの推察が間違いでないことを信ずるようになった、父上には申上げられなかったが、いつかおまえ自身にたしかめたいと思っていた、……おかや、云って呉れ、このながい年月、おまえにこんな異常な決心を持続けさせた原因はなんだ、単に主従の義理だけか、母上の恩に報ずるためか、隠さずに云うのだおかや、今こそおまえは口を利いてもいいのだから」
「ああ、……ああ、……」おかやの口を衝いて、唖者に独特の哀しい喉声が洩れた。たしかに、おかやはいま若い主人に答えようとしている、云うべき言葉は喉まで出ているのだ「……ああ」貴方の御推察は本当です、私は白痴でもなく唖でもありません、そしてなぜこんな愚かな真似をしたかといえば「ああ、……」