Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme
三人が連立って湯場を出、桜井先生の別荘の方へ上って行った時は、先生は皆なを待受顔に窓に近い庭石に水をそそいでいた。先生は石垣の上に試みたアカシヤの挿木を高瀬に指して見せた。門の内には先生の好きな花も植えられた。
別荘の入口には楼の名を彫った額も掛った。明るい深い緑葉の反射は千曲川の見える座敷に満ちて、そこに集った湯上りの連中の顔にまで映った。一年に二度ずつ黄色くなる欄の外の眺めは緑に調和して画のように見えた。先生は茶を入れて皆なを款待しながら、青田の時分に聞える非常に沢山な蛙の声、夕方に見える対岸の村落の灯の色などを語り聞かせた。
間もなく三人は先生一人をこの隠れ家に残して置いて、町の方へ帰って行った。学士がユックリユックリ歩くので他の二人は時々足を停めて待合わせては復たサッサと歩いた。
「しかし、女でも何でも働くところですネ」と子安は別れ際に高瀬に言った。
高瀬も佇立って、「畢竟、よく働くから、それでこう女の気象が勇健いんでしょう」
「そうです。働くことはよく働きますナ……それに非常な質素なところだ……ですけれど、高瀬さん、チアムネスというものは全くこの辺の娘に欠けてますネ」