Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Lesen Sie 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) von 島崎 藤村 (しまざきとうそん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.813 Zeichen · 302 Bildschirme
それを御本家では平素憎悪んでいるということでした。
まあ、聞いて下さい。世には妙な容貌の人もあればあるもので、泣いている時ですら見たところは笑っているとしか思われないものがあります。旦那様のが丁度それで、眼の周囲の筋の縮んだ工合から口元と頬の間に深い皺のある御様子は、全く旦那様の御顔を見ると笑が刻んであるようでした。さ、その御顔です。一時も油断をなさらない真面目な精神の旦那様が、こうした御顔でいらっしゃるということは、不思議なようでした。然し、それが旦那様の御人の好という証拠で、御天性の普通の人とは違ったところでしょう。一体、寒い国の殿方には遅鈍した無精な癖があるものですけれど、旦那様にはそれがありません。克もああ身体が動くと思われる位に、勤勉な働好な御方でした。
小諸で新しい事業とか相談とか言えば、誰は差置ても先ず荒井様という声が懸る。小諸に旦那様ほどの役者はないと言いました位です。
私が上りました頃の御夫婦仲というものは、外目にも羨ましいほどの御睦じさ。旦那様は朝早く御散歩をなさるか、御二階で御調物をなさるかで、朝飯前には小原の牝牛の乳を召上る。