Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
」
プツリと言いきって、狐つきのようにだまり込んでいる。背を丸く首を傾げた姿を見るとどんなに世の荒波がこの善人を顛動させ、こうも呆けさせたかと痛ましかった。
私はこの老女の生母をたった一度見た覚えがある。谷中御隠殿の棗の木のある家で、蓮池のある庭にむかった室で、お比丘尼だった。
老年になってからこの夫妻は一緒に暮す日が多くなった。
ある日空巣ねらいがはいった。おばあさんはキョトンとした眼で見ていたが、立っていって座布団を出した。盗棒はびっくりして、落つかないお尻を布団の上にのせたが、お茶を出されてモジモジした。
「あいにく留守にしたあとで、私では何のお役にもたちませんで――どうぞ、ごゆるりとなさって下さいまし。」
盗人は飛上って次の間へゆき、グルリと見廻して出て来た。
おばあさんはいよいよ真面目で、
「ただいまお菓子をとって参りますから、ちょっとどうぞお待ちを――」
盗人は狼狽てた。外へ出られてはたまらない――彼の方が一目散に飛出すと、おばあさんが後から、
「もしもし貴下、おわすれものですよ、なんておそそうな――」
そう言って着せてやったのは、毛皮のついた外套だった。