Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

旧聞日本橋

勝川のおばさんという名がアンポンタンに記憶された。顔の印象は浅黒く、長かった。それが木魚の顔のおじいさんのたった一人の妹だときいても、別段心もひかれなかった。ただ平べったいチンチクリンのおじいさんに、長茄子のような妹があるのかなと思った位だった。

しかし彼女は小意気だった、その時分の扮装が黒っぽかったので、背のたかい細面の女を、感じから黒茄子にしてしまったが、五十を越しても水極だっていた。

幾年かすぎて、ふとその女がはじめて来た日の言葉を思いだした。

「お滝さんにも久しぶりで逢えて――」

自分の姪の家へきて、にもなんて変なことをいう――子供の心は単純で、かげりをもった言語の深いあやを知らない。およそ、木魚のおじいさんの一族で、あんなに客として歓待されたものはないのにと、無視された母のためにアンポンタンは軽い義憤をもった。

だが、勝川のおばさんの生立をきくと無理はなかった。彼女としては、女中同様に追廻して使った姪に、さんの字をつけてよぶだけでさえ小癪にさわる――そうした気風の彼女だった。深川佐賀町の廻船問屋石川屋佐兵衛の妻女――なれのはてではあったが、とにかく代言人長谷川氏の家を訪れてきたのだ。