Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

紺ちりめんへ雨雲を浅黄と淡鼠で出して、稲妻を白く抜いた単に、白茶の唐織を甲斐の口にキュッと締めて、単衣には水色太白の糸で袖口の下をブツブツかがり、その末が房になってさがっているのを着ていた。日陰町のせまい古着屋町を眺めながら、ある家の山のように真黒な、急な勾配をもった大屋根が、いつも其処へ来ると威圧するように目にくるのを避けられないように、まじまじ見詰めながら通った。

祖母は伊勢朝長の大庄家の生れで、幼少な時、童のする役を神宮に奉仕したことがあるとかで神明様へは月参りをした。よくこの人の言ったのに、五十鈴河は末流の方でもはいってはいけない、ことに女人はだが――夏の夜、そっと流れに身をひたすと、山の陰が抱いてるように暗いのに、月光は何処からか洩ってきて浴る水がキラリとする。瀬が動くと、クスクスと笑うものがあるので、誰と低くきくと、あたしだよと答えるのは姉さんで、そっと這うようにして上陸る――

その折こうも言った。香魚は大きい、とってきてすぐ焼くと、骨がツと放れて、その香のよいことと――

あたしは先年、神路山が屏風のようにかこんだ五十鈴河のみたらしの淵で、人をおそれぬ香魚が鯉より大きく肥っているのを見た。