Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
「四民平等の世の中なのに――俺はいけない。なあんだ、当り前だと思いながら、情けないことに町人根生がぬけないのだな、心ではそう思いながら、つまらない奴に、自然と頭が下がりやがる。甚いもので、代々植付けられて来た卑屈だ。いめいましいが理屈じゃどうにもならない。お前なんぞは、そこへゆくと、生れた時から自由の子だ、どんな奴にも、頭ぁさげるな、おんなじ人間だぞ。」
私は父を愛す。晩年に近く失敗したけれど、それは殆ど父の仕業ではないほど私の知る父とは矛盾した事だった。私の筆はやがて其方へも進んでゆくであろうが、そこでは弁護しないが、父の壮年時代を知り、晩年を知るものは、なにのためにかを考えさせられる。父は後にいった。長く考えていたことを、ふと迷って、そしてまた長く悔ゆると――
父の人格がすこし変ったのは、中年過ぎて男の子が出来てから、母の狂愛に捲込まれてからだった。私につぶやいてきかせたころは、実に好きな父だった。夜、客のない時、お膳を前にしてチビチビやりながら書籍を読んでいる。私を前におくのがくせだった。ふと気がついて書物から眼を離すと、おとなしく膳の前に座っている私に、お肴をつまんで口に入れてくれた。