Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
岩崎は丸の内一帯の大地主だ、丸の内といえば諸大名の官宅のあった土地だ。
その時、祖母も言った。
「浜町の三河様の邸あとも、くれるといったのだそうだよ。」
その時の断りかたがまたふるっている。折角ですが老母がいやがりますから――あすこは糞船の一ぱい寄るところで――と。三河様の邸跡は大樹が森々として、細川邸とつづき塀越しに大川の水がすぐ目の前にあり、月見に有名な土地で、中洲は繁華になった。
大橋と、両国橋の間の中洲には、懲役人が赤い着物を着て、小船にのって土運びをしていた。女橋と男橋がかかって、土地開きをしたころの夏の人気は、人形町通りから、埋たての中洲へと集っていた。ただもうめちゃくちゃに賑かだった。おでんやは鍋の廻りに真黒に人が立ち、氷やは腰をかける席がないほどの繁昌だ。氷やといっても今のように小体な店ではない。なかなか広い店で、巾の広い牀几が沢山並んでいた。涼しげな、大きな滝を忍ばせる硝子の簾――聯がさがって提灯や、花瓦斯の光りが映りゆらめき、いせいのよいビラが張りわたされ、ねじ鉢巻のあにいが二、三人手を揃えてガリガリ氷を掻きとばしていた。小女が赤いたすきで忙しそうに客の間を走っていた。