Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme

Aozora Bunko

一枚一枚丁寧に小判を出してやっていたが、そのうちに盗人の方が焦燥ってきて早くしろといった。

昔の金は重い。盗人が一足外へ出たと同時に、奥蔵の二階の窓から、激しく、せわしなく「火事だ火事だ」と金盥を叩きたてた。それに応じて店でも騒ぎだした。火事早い江戸だから間髪を入れず近所の表戸が開く、人が飛出す――

盗人も火事だ火事だと怒鳴って逃げようとしたが、火元の方から逃出すものはない、取りかこんでくる人たちに、ものしたものを投げつけて逃げていった。

その祖母が女のたしなみを、いかにも簡明に女中たちにも、子供たちにも共通にはなしてきかせるのだ。その中で、あんぽんたんの耳に残っているのは、祖父が蔵を建てようといった時に一戸前の金が出来たからと悦んでいったのを、

「も一戸前分の金が出来てからになさい。」

と祖母はいった。自分たちの働きの成績を、一日も早く、黒塗りの土蔵にして眺めたいと願っていた祖父は、明らかによろこばなかった。

二戸前分の金が集まった時に、祖母はまたいった。

「も一戸前分出来たらにしましょう。」

さすが温順な祖父も、なぜだと訳をきかないうちは承知しなかった。