Japanische Klassiker mit Furigana
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きゅうぶんにほんばし
旧聞日本橋
長谷川 時雨
Lesen Sie 旧聞日本橋 (きゅうぶんにほんばし) von 長谷川 時雨 (はせがわしぐれ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 158.045 Zeichen · 322 Bildschirme
歌川輝国は、宅のすぐ前にいたのさ。うまや新道――油町と小伝馬町の両方の裏通り、馬屋新道とは、小伝馬町の牢屋から、引廻しの出るときの御用を勤めるという、特別の役をもっている荷馬の宿があったから――の小伝馬町側に住んでいた。くさ双紙の、合巻かきでは、江戸で第一の人だったけれど、貧乏も貧乏で、しまいは肺病で死んだ。やっぱり七歳ぐらいから絵をおしえてくれた。その時分三十五、六だったろう。豊国の弟子だったから、豊国の描いたものや、古い絵だの古本だの沢山あった。種彦がよこした下絵の草稿もどっさりあった。私は二六時中見ていても子供だからそんなに大切にしなかったし、おかみさんのおもよというのは、竈河岸の竃屋の娘で、おしゃべりでしようのなかった女だから、輝国が死んでから、そういうものはどうなってしまったかわからなかった。
住居は入口が格子で、すこしばかり土間があって、二間に台所だけ、家賃は(今の金で)三十銭位だとおぼえている。それでもお酒は大好きで、たべものはてんやものばかりとっていた。貧乏でもそういうところは驕っていた。芝の泉市だの、若狭屋だのという絵双紙屋から頼みにきても、容易なこっては描いてやらなかった。