Japanische Klassiker mit Furigana
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わせだだいがく
早稲田大学
尾崎 士郎
Lesen Sie 早稲田大学 (わせだだいがく) von 尾崎 士郎 (おざきしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.204 Zeichen · 220 Bildschirme
「此処で待っているんだ」。
西方現助は、やられた、と思った。明かに鱈野一五郎に一杯喰わされたのである。小さな部屋の中には誰もいなかった。扉のそとの廊下を往復する靴音は絶え間なしに聞えていたが、誰れも入ってくるものはなかった。西方は椅子から立ちあがってみたり、また坐ってみたりしながら一時間あまり同じ動作をくりかえしていると、だしぬけに扉があいて四十前後と思われる、白い夏服を着た肥った男がぬっと顔をつきだした。
「おい、昼飯は未だだろう?」。
西方は、とたんにむっとして睨みかえした。「それよりも、こっちは急いでいるんだから早く用事を聴きたいんだが?」。
「そいつは、おれにはわからんね」。
「じゃあ、すぐ鱈野君を呼んでくれよ」。
「もういないよ、――さっき出ていったばかりだから夜になったら帰るだろう」。
扉をパタンとしめた。それから十分ほど経つと、雑役夫みたいな男が、うるしの剥げた箱弁当とお茶を持ってはいってきた。無表情のまま、それを机の上において出ていった。西方は空腹をかんじてはいたが、しかし胸がきゅうんと押しつまって、箱弁当を食う気にはなれなかった。しばらく経つと、またさっきの巡査がはいってきた。