Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんきく
晩菊
林 芙美子
Lesen Sie 晩菊 (ばんきく) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.998 Zeichen · 32 Bildschirme
と小さい声で、茶を呑んでいるきんに尋ねた。きんは吃驚した眼をして、「駄目よ。こんな私をからかわないで下さい」と、眼尻の皺をわざとちぢめるようにして笑った。美しい皓い入れ歯が光る。「いやに冷酷無情だな。もう、一切金の話はしない。一寸、昔のきんさんに甘ったれたンだ。でも、――ここは別世界だものね。君は悪運の強い人だよ。どんな事があったってくたばらないのは偉い。いまの若い女なンか、そりゃアみじめだからね。君、ダンスはしないの?」きんは、ふふんと鼻の奥でわらった。若い女がどうだって云うンだろう……。私の知った事じゃないわ。「ダンスなンて知らないわ。貴方なさるの?」「少しはね」「そう、いい方があるンでしょう? それでお金がいるンじゃないの?」「馬鹿だなア、女にみつぐ程、ぼろい金もうけはしていない」「あら、でも、とても、その身だしなみは紳士じゃないのよ。相当なお仕事でなくちゃ、出来ない芸だわ」「これははったりなンだ。ふところはぴいぴいなンだぜ。七転び八起きもこの頃はあわただしくてね……」きんはふふふとふくみ笑いをして、田部の房々とした黒髪にみとれている。まだ、十分房房として額ぎわにたれている。